沖縄料理は「チャンプルー(ごちゃまぜ)」だとよく言われます。これは調理法の話であると同時に、成り立ちそのものの説明でもあります。中国、日本本土、東南アジア、そしてアメリカ。交わった相手の数だけ、沖縄の食卓には層が重なっています。
豚は「鳴き声以外すべて食べる」
沖縄で豚食が広まったのは、中国との冊封・進貢貿易を通じてでした。冊封使をもてなす宮廷料理として豚肉料理が発達し、やがて各家庭にも広がります。かつては正月前に一頭をつぶし、余すところなく使い切りました。
- ソーキ … あばら肉。骨付きの本ソーキと、軟骨まで食べられる軟骨ソーキ
- ラフテー … 三枚肉を泡盛と醤油で煮込んだ角煮
- ミミガー … 耳。細切りにして酢の物に
- てびち … 足。おでんに入るのが沖縄流
- 中身 … 内臓。澄まし汁「中身汁」は法事や正月の定番
- チラガー … 顔の皮
泡盛で煮ることで臭みが抜け、脂もさっぱり仕上がります。豚と泡盛は、どちらも欠けると成立しない組み合わせでした。
沖縄で採れない昆布を、沖縄がいちばん食べる
昆布は寒い海の産物で、沖縄ではまったく採れません。それなのに沖縄は昆布の消費量が全国でも上位を占め続けてきました。
理由は交易です。江戸期、北海道の昆布は北前船で本州へ運ばれ、薩摩を経由して琉球へ入りました。琉球はそれを中国への輸出品として扱い、その過程で自分たちの食卓にも定着したのです。クーブイリチー(昆布の炒め煮)は、その名残がいまも家庭料理として残ったものです。
アメリカが置いていった味
1945年から1972年までの27年間、沖縄はアメリカの統治下にありました。物資は米軍経由で入り、食卓の風景も変わります。
- ポーク(ランチョンミート) … 缶詰の保存食。ポーク玉子おにぎりやチャンプルーの具に
- タコライス … 1980年代、金武町で米兵向けに考案された
- ルートビア … A&Wの名物。1963年に沖縄1号店が開店
- ステーキ … 飲んだあとの締めにステーキ、という独特の習慣
- ブルーシール … 米軍向けに始まり、県民のアイスになった
これらは「アメリカ風」として輸入されたまま残ったのではなく、沖縄の食習慣の中に組み込まれて別のものになりました。ポーク玉子おにぎりは本国のアメリカにはありません。
「ぬちぐすい」=食べものは命の薬
沖縄には「ぬちぐすい(命薬)」という考え方があります。おいしいもの、体にいいものを食べることが、そのまま健康につながるという発想です。
フーチバー(よもぎ)、ンジャナ(ニガナ)、ハンダマ、ゴーヤー、島らっきょう。苦みや香りの強い島野菜が多いのは、暑さの中で体を整えるためでした。豚肉のこってりした料理と、これらの野菜や汁物が同じ食卓に並ぶのが本来の形です。
ちなみに、沖縄そばの麺にそば粉は入っていない
沖縄そばは小麦粉100%で作られます。そのため「そば」を名乗れるかが問題になり、公正取引委員会との協議に持ち込まれました。決着がついたのは1978年10月17日。いまではこの日が「沖縄そばの日」になっています。
読んだあとは、クイズで確かめる
ここまでの内容がどれくらい頭に入ったか、4択クイズで試せます。1問ごとに解説が付くので、間違えてもその場で覚えられます。

